Vine Linuxの終焉

 Linuxの国産ディストリビューションに、Vine Linuxというものがあるのですが、残念ながら終焉を迎えてしまったようです。以前かかわっていた自分が言うのも気が引けますが、当初はLinuxにおける日本語の扱いは優れたものでした。しかし、他のディストリビューションも日本語の扱い、というより国際化が進み、その優位性を失っていきました。本来であれば、他に「売り」を用意せねばならなかったのですが、LaTeX以外にあまり見るものは無くなったように思います。

 さらに、ここ二年ばかりセキュリティ関連等のアップデートも無かったため、既に安心して使うことはできなくなっていたのですが、それ以前にメンテナンスが終了したソフトウェアが収録されていたりと、かなりまずい状況だったわけです。バージョン7がリリースされれば、この辺の問題はクリアされた筈ですが、リリースされることなくProject Vineは活動停止してしまったようです。 もっとも殆どユーザは残っていなかったと思われるので、 実害はあまり無かったと言えるでしょう。

 ディストリビューションの開発は終わりのない競争のようなもので、足を止めたらすぐ終わりかねないと言えます。ですから、いかに継続性のある組織を構築するかがポイントになると思うのですが、それが上手く行かなかったのでしょう。VineSeed ML(メーリングリスト)のログを見ていると、いきなり降りてしまったメンテナも居たりと、開発チームの内部で何かあったのかもしれません。とは言え実際に開発を行うのは大変ですので、開発チームにはご苦労様でしたと言いたいです。

 先に述べたように、殆どユーザは残っていなかったと思いますので、既に他のディストリビューションへ移行したでしょうが、私はaptが使え色々なパッケージが揃っているdebianに移行しました(ついでにいうとubuntu系のsudoを使う管理はイマイチ好みではなかったので)。パッケージ形式がrpmからdebに変わりましたが、個人的に必要なものはソースから入れていたので、あまり影響はありませんでした。それよりも、debianの流儀を学ぶ方が手間だったと言えます。とは言え、Linuxであることに変わりはなく、Vineで学習したスキルと少々の時間があれば、どのディストリビューションでも移行するのは難しくないと思います。この辺がLinuxの良いところですね。

Author: wing